ソバの歴史とソバの語源 (三)
今回は、ソバの歴史と語源についてお話をしたいと思います。
ソバの原産地は、かつて中央アジア、アムール川上流域やバイカル湖周辺域など諸説が上げられましたが、現在では遺伝子解析などにより中国南西域であることが明らかになってきました。しかし、ソバがいつごろどういう経路で日本に入ってきたのかは、まだ解明されておりません。沿海州から北日本、揚子江から北九州あるいは朝鮮半島から出雲といったルートが有力とされています。
ソバの語源
現代の日本では「蕎麦」という字を当てて「ソバ」と呼んでいます。漢字発祥の国である中国でも、ソバのことを「蕎麦」と表記するのが一般的で、「チャオマイ」と言います。七世紀から八世紀ころには、「蕎」の一字で「ソバ」を意味する文字として用いられています。もともと「蕎」には、「そそり立つ」という意味があり「喬」もまた「高い」という意味を持つ文字であることから、ソバの実の角が高くなっていることでこの字があてられたのではないかとする意見もありました。
しかし、「蕎」や「喬」の持つ高いという意は、仰ぎ見るほど背丈が高くなるニュアンスで、ソバの実が角張っているような場合とは少し違っています。このような疑問から最近では、「蕎」が麦より成長の早いソバを表わす文字として使われるようになったのではないかと考えられています。
中国では「蕎麦」以外に、いくつもソバを意味する表記が残っています。その一部を紹介すると、「花麦」は花の咲く麦の意、「三稜麦」「三角麦」では角張っている形に由来すると考えられています。「烏麦」というものもありました。日本語の訓読みでは「からすむぎ」となりますがソバのことを表わしたもので、日本で言う「カラスムギ」は「燕麦エンバク」の別名です。烏龍茶の「烏」のように黒いという意味で使われ、ソバの実が黒いことによります。
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